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2015-02-04 23:40    クロエエデンショルダーバッグ
「飯炊きだもん、そうはいかんさ」  拓一の声が暗い。 「でも、もう一人の人もかわいそうになあ」 「うん」  富と一緒に働いていた若い炊事婦は、下半身だけが残っていて、上半身は行方不明だという。真っ二つにちぎれた胴体を思っただけで、二人の胸は痛む。  少し行くと、細い山道をのろのろと降りて来る印《しるし》半《ばん》纏《てん》姿の男が見えた。一歩歩いては立ちどまり、二歩歩いてはふらふらとよろけそうになる。誰も彼も、災害以来、何かに取り憑つかれたように働いているのだ。その疲労がようやく、四日目の今日になって色濃く浮かんでいた。 「疲れてるなあ、あの人も」  耕作自身、今日既にもう六里は歩いている。しかも山道だ。耕作はズボンのポケットに手をやった。疲労なおしの飴《あめ》玉《だま》が紙袋に二、三十個入っている。今日学校に行った時、菓子屋の花井先生が手渡してくれたものだ。  男は膝をがくりがくりとさせながら、次第に二人のほうに近づいて来る。幾日も剃《そ》らないのだろう。ひげが顔の半分を黒く埋めていた。うつむきながら歩いていた男は、ふっと二人のほうを見た。途端に男の足が止まった。近寄って耕作は、手に持っていた飴玉を差し出した。と拓一が言った。 「おっ、武井の兄さんじゃないか」  耕作はギョッとしたように男を見た。憔《しよう》悴《すい》して、頬骨が尖《とが》り、目が落ちくぼんでいる。しかもその目には光がなかった。が、武井と言われてみれば、確かに武井の顔だった。  武井はぼんやりと二人を見た。 「そうだ! 武井の兄さんだ」  耕作も叫んだ。木洩れ日が武井の顔に落ちている。武井は黙ったまま答えない。ちょっと指で突ついても、倒れそうな姿で、武井は二人に黒い顔を向けていた。耕作と拓一は思わず顔を見合わせた。武井はこの世の人とも思われなかった。 「武井の兄さん、姉ちゃんは……死んだってね」  耕作が言った。武井は黙って耕作を見、のろのろと拓一を見た。が、骨張った汚い手で、印半纏の下に巻きつけた木綿ぶろしきの結び目をゆっくりと解きはじめた。そしてそのふろしきを抱えたまま、武井はへたへたと山道に坐りこんだ。 「大丈夫か、兄さん」  拓一の言葉に、武井がうなずきながらふろしきをひらくと、新聞紙の包みが出て来た。武井はその新聞紙をがさごそとひろげた。握り飯でも出すつもりなのかと、眺めていた耕作と拓一はハッとした。ひらかれた新聞紙の上に、灰になった骨があった。