クロエバッグ2way
null
null 近藤は気配を察していった。 「そのようだな」 「まさか歳、ここでわれわれを斬り伏せるつもりではあるまい」 「斬り伏せられるあんたか」 「あははは、そのとおりだ。近藤、土方が、やみやみ斬り伏せられる手合ではない」  ——御免。  と伊東甲子太郎がふすまをあけた。  つづく者は、篠原泰之進。  それだけかとおもうと、伊東の実弟の九番隊組長鈴木|三樹三郎《みきさぶろう》、監察の新井忠雄、この男は剣をとれば新選組屈指の腕である。  つづいて伍長の加納★[#周+鳥]雄、監察の毛内《もうない》有之介(監物)、伍長の富山弥兵衛。 「これだけかね」  と近藤がいったとき、最後に意外な人物が入ってきた。  八番隊組長藤堂平助である。 (あ、こいつもか)  近藤と歳三の表情に、同時におなじ翳《かげ》がはしった。  藤堂は好漢を絵にかいたようなおとこで、近藤、歳三とも、身内のように愛していた。  げんに、江戸結盟以来の同志である。藤堂は流儀こそ千葉門の北辰一刀流だが、近藤の道場には早くから遊びにきていた。  そもそものはじめ、——つまり幕府が浪人を募集しているということをききこんできて応募を近藤、歳三にすすめたのも、死んだ山南敬助とこの藤堂平助である。